あるところに、街がありました。
とても豊かな森の近くに立つ、なかなか広い街です。
街には馬車が止まっていました。
馬が一頭繋がれ、中にたくさんのモンスターを乗せた馬車です。
街の宿屋からは、一人の男の人が出てきました。
その男の人は黒髪に紫のターバンを巻き、冒険用の破邪の剣(注・武器)を携えてゆっくりと馬車の方へ歩いていきます。
馬車に乗り込むと、中のモンスターのうちの一匹が聞きました。
「どうするんです?ビアンカさんを嫁に貰えば天空の盾が貰えやせんし、
フローラさんを嫁に貰えば、山奥のジジイとアンディのくそまぬけが泣き寝入りする羽目になりやすぜ?」
「分かってるさ」
そして男の人は優雅に微笑み、御者台に腰掛けて馬に鞭を入れました。
「ルドマン家の宝箱を二つとも貰ってきた。これを持って逃げるよ」
モンスター達はみな一様に何か言いたそうでしたが、男の人はそれを無視すると、馬車を急発進させました。
一瞬前まで馬車があったところに、大きなベギラマが飛んできました。それは、そこにあった木を消し炭にしました。
馬車は走り去りました。
この街は今でもそこにあります。
花嫁候補は今も、屋敷の中にいます。
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